「ド派手なドラムソロを叩いてみたい!」「バンドで力強いリズムを刻みたい!」そんな憧れからドラムに興味を持ったあなたへ。この記事は、ドラムを始めたいけれど、何から手をつけていいか分からない、という初心者の方のために作られた、お役立ち情報満載の完全ガイドです。特定の商品やブランドの紹介は一切ありません。純粋にドラムの楽しさ、奥深さを知ってもらうための情報を、たっぷり詰め込みました。この記事を読めば、ドラムを始めるための第一歩が、きっと見えてくるはずです。さあ、一緒にドラムの世界へ飛び込んでみましょう!
ドラムってどんな楽器?まずは基本を知ろう
ドラムセットは、たくさんの太鼓やシンバルが集まってできています。一見複雑そうに見えますが、それぞれのパーツの役割を知れば、グッと身近な存在になりますよ。ここでは、ドラムセットの主要なパーツとその役割について、分かりやすく解説していきます。
ドラムセットの主要メンバーたち
まずは、一般的なドラムセットを構成する基本的なパーツを見ていきましょう。配置や種類はドラマーの好みや音楽ジャンルによって様々ですが、基本となるのは以下のメンバーたちです。
バスドラム
「ドンッ!」という一番低い音を出す、セットの中で最も大きな太鼓です。右足(左利きの人は左足)にセットしたペダルを踏んで音を出します。楽曲の心臓部とも言える重要なパートで、ビートの土台を支えます。バスドラムが安定していると、バンド全体のグルーヴ感が格段にアップします。
スネアドラム
「タンッ!」とか「スパンッ!」という歯切れの良い音が特徴の太鼓です。ドラマーの左手側に置かれることが多く、楽曲のアクセントやバックビート(2拍目と4拍目)を叩くのに使われます。裏面には「スナッピー」と呼ばれる響き線が張られていて、これが独特の「ジャラ」っとしたサウンドを生み出します。ドラムセットの顔とも言える、非常に表現力豊かな楽器です。
タムタム(タム)
バスドラムの上や横に設置される、大きさの違う複数の太鼓です。高い方から「ハイタム」「ロータム」「フロアタム」などと呼ばれます。「タム」や「トム」という音名の通り、「トトトン」といったフレーズ(フィルイン)を叩くのに使われ、曲の展開を彩ります。大きさや数、セッティングはドラマーの個性が出るところです。
ハイハットシンバル
2枚のシンバルを合わせた形をしていて、左足(右利きの人の場合)のペダルで開閉できます。「チッ」という刻み音から、「シャン」という開いた音まで、多彩な表現が可能です。ペダル操作とスティックでの叩き方を組み合わせることで、ビートに細かなニュアンスを加えることができます。8ビートなどの基本的なリズムを刻む上で、中心的な役割を果たします。
シンバル類
ハイハット以外にも、ドラムセットには様々なシンバルが使われます。
- クラッシュシンバル: 「シャーン!」という華やかな音で、曲の盛り上がりやアクセントをつけたい時に叩きます。セットには大きさや種類の違うものを複数枚セッティングすることが多いです。
- ライドシンバル: 「チーン」という伸びやかで落ち着いた音色が特徴です。主にビートを刻むために使われ、ジャズなどではハイハットの代わりによく使われます。カップ(中央の膨らんだ部分)を叩くと、カンカンと硬質な音が出ます。
- その他のシンバル: 上記以外にも、素早いアクセントに使う「スプラッシュシンバル」や、中国の銅鑼のような独特な音色の「チャイナシンバル」など、様々な種類があります。
ドラムが音楽で果たす役割
ドラムは、バンドアンサンブルにおいて「リズムの骨格」を作る、非常に重要な役割を担っています。ドラムが刻むビートが、曲のテンポやノリ(グルーヴ)を決定づけるのです。また、フィルインによって曲の場面転換を促したり、シンバルの強弱で感情表現をしたりと、音楽の土台でありながら、同時に楽曲を豊かに彩る司令塔のような存在でもあります。安定したリズムを叩けるドラマーは、バンドメンバーから絶大な信頼を寄せられますよ。
さあ、ドラムを始めよう!最初の一歩
ドラムの魅力が分かったところで、いよいよ「始める」ための具体的なステップに進みましょう。何から手をつければいいのか、どんな準備が必要なのかを解説します。
練習場所を確保しよう
ドラムを始める上で、まず考えなければならないのが練習場所です。ドラムは非常に大きな音が出る楽器なので、どこでも気軽に叩けるわけではありません。主な練習場所の選択肢は以下の通りです。
音楽スタジオ(リハーサルスタジオ)
最も現実的で、多くのドラマーが利用しているのが音楽スタジオです。防音設備が整っているので、思いっきりドラムを叩くことができます。ドラムセットはもちろん、アンプなどの機材も一通り揃っています。個人練習プランを利用すれば、比較的リーズナブルな料金で借りることができます。まずはスタジオの会員になって、定期的に通う習慣をつけるのがおすすめです。
音楽教室
プロの講師から直接指導を受けられるのが音楽教室の最大のメリットです。正しいフォームや効率的な練習方法を基礎から学べるため、上達への近道と言えるでしょう。グループレッスンや個人レッスンなど、様々な形態があります。自分に合った教室や先生を見つけることができれば、モチベーションの維持にも繋がります。
自宅での練習
「家で練習できたら最高なのに…」と思う方も多いでしょう。しかし、本物のドラムセットを自宅に置くのは、防音の観点から非常にハードルが高いです。そこで活躍するのが、電子ドラムや練習パッドです。
- 電子ドラム: パッドを叩くとセンサーが感知し、ヘッドホンからドラムの音が聞こえる仕組みです。打撃音は残りますが、生ドラムに比べれば格段に静かなので、マンションなどでも練習しやすいのが魅力です。ただし、ペダルを踏む振動が階下に響くことがあるため、防振マットを敷くなどの対策は検討した方が良いでしょう。
- 練習パッド: ゴム製の打面がついた練習用のパッドです。スネアドラムの練習に特化しており、ストロークやリズムの基礎練習に最適です。場所を取らず、音も比較的小さいため、自宅での日々のトレーニングにぴったりです。
まずはスティックを手に入れよう
練習場所の目処が立ったら、次に必要なのが自分のドラムスティックです。スティックはドラマーにとっての相棒であり、自分の手足のように操る大切な道具です。どんなスティックを選べば良いかは、次の章で詳しく解説しますので、ここでは「まず自分のスティックを持つことが大事」と覚えておいてくださいね。
相棒を見つけよう!ドラムスティックの選び方
ドラムスティックは、まさに千差万別。材質、太さ、長さ、先端の形状(チップ)など、様々な要素の組み合わせで無数の種類が存在します。自分に合ったスティックを見つけることが、上達への第一歩です。ここでは、スティック選びの基本的なポイントをご紹介します。
スティックの材質
スティックのサウンドや耐久性を決める重要な要素が「材質」です。主に以下の3種類がポピュラーです。
ヒッコリー
最も一般的で、多くのドラマーに愛用されている材質です。適度な硬さと弾力性があり、耐久性も高いため、オールラウンドに使いやすいのが特徴です。迷ったら、まずはヒッコリー製の標準的なモデルを試してみるのが良いでしょう。
オーク
ヒッコリーよりも重くて硬い材質です。そのため、非常にパワフルなサウンドが出しやすく、耐久性も抜群です。ロック系のドラマーに人気がありますが、硬さゆえにシンバルなどを傷つけやすいという側面もあります。また、重いので慣れるまで少し力が必要かもしれません。
メイプル
軽くて柔らかい材質で、繊細なサウンドを奏でるのに向いています。ジャズやアコースティックな音楽を演奏するドラマーに好まれます。軽いのでコントロールしやすく、疲れにくいですが、耐久性はヒッコリーやオークに劣ります。
太さと長さ
スティックの太さや長さも、叩き心地やサウンドに大きく影響します。
- 太さ: 太いスティックはパワーが出しやすく、大きな音量を稼げますが、細かいコントロールは難しくなる傾向があります。逆に細いスティックは、繊細な表現がしやすく、スピーディーなフレーズに向いていますが、パワーは出しにくいです。
- 長さ: 長いスティックは遠心力を利用しやすく、遠くにあるシンバルなどにも届きやすいですが、バランスを取るのが少し難しくなります。短いスティックは取り回しが良く、コントロールしやすいのが特徴です。
手の大きさや腕の長さによっても、しっくりくる太さ・長さは変わってきます。色々な種類を実際に握ってみて、自分の手に馴染むものを見つけるのが一番です。
チップの形状
スティックの先端部分である「チップ」の形状も、サウンドを左右する大切な要素です。
| チップ形状 | 特徴 |
| 丸型(ボール) | 打面に当たる面積が常に一定で、粒立ちの良いクリアなサウンドが得られます。 |
| 涙型(ティアドロップ) | 当てる角度によって接地面積が変わり、多彩な表現が可能です。最も標準的な形状の一つです。 |
| 樽型(俵型) | パワーを出しやすく、太く存在感のあるサウンドになります。ロック系の音楽に適しています。 |
| 矢じり型(アロー) | シャープでダークなサウンドが特徴で、ライドシンバルなどで繊細な音色を出すのに向いています。 |
チップの材質には木製のものの他に、ナイロン製のチップもあります。ナイロンチップは、木製に比べて明るくクリアなアタック音が得られ、特にシンバルを叩いた時の粒立ちが良くなります。また、耐久性が高いのもメリットです。
自分に合ったスティックの見つけ方
一番大切なのは、実際に楽器店で握ってみて、できれば練習パッドなどで試奏させてもらうことです。スペックだけを見ても、本当の叩き心地は分かりません。重さのバランス、グリップ感、振った時の感触などを確かめ、「これだ!」と思える一本を探してみてください。最初は標準的なヒッコリー材のティアドロップ型から始めて、慣れてきたら色々なタイプを試していくのがおすすめです。
叩く前に知っておきたい!基本のフォームとストローク
自分に合ったスティックを手に入れたら、いよいよ叩く準備です。しかし、やみくもに叩くだけでは上達しません。怪我を防ぎ、効率よく上達するためには、正しいフォームと基本的な叩き方(ストローク)を身につけることが非常に重要です。
基本姿勢と椅子の高さ
ドラムを叩く上での基本は、リラックスした自然な姿勢です。まずは椅子の高さから調整しましょう。
- 椅子に座り、フットペダルに足を置きます。
- 太ももが床と水平になるか、少しだけ下がるくらいの高さに調整します。
- 背筋を軽く伸ばし、肩の力は抜きましょう。
高すぎたり低すぎたりすると、ペダル操作がしにくくなったり、腰に負担がかかったりします。自分にとって一番楽で、安定する高さを探してください。
スティックの持ち方(グリップ)
スティックの持ち方には、大きく分けて2つのスタイルがあります。
マッチドグリップ
左右の手で同じようにスティックを持つ、現代では最も一般的なグリップです。パワーを出しやすく、左右の音量を均一にしやすいのが特徴で、ロックやポップスなど多くのジャンルで使われます。初心者の方は、まずこのグリップから覚えるのが良いでしょう。握り方にもいくつか種類があります。
- フレンチグリップ: 親指が上を向くように握ります。指を使いやすく、繊細でスピーディーなコントロールが可能です。
- ジャーマングリップ: 手の甲が真上を向くように握ります。手首のスナップを効かせやすく、力強いショットに向いています。
- アメリカングリップ: フレンチとジャーマンの中間の握り方で、最もオールラウンドに対応できます。
トラディショナルグリップ
右手はマッチドグリップのように上から握り、左手は下から支えるように持つグリップです。マーチングバンドでスネアを斜めに吊るしていた時代に生まれたスタイルで、特に左手の繊細なコントロールに優れています。ジャズドラマーに多く見られますが、習得には少し練習が必要です。
基本のストロークをマスターしよう
ストロークとは、スティックを振り下ろしてから元の位置に戻すまでの一連の動作のことです。このストロークを制する者がドラムを制すると言っても過言ではありません。基本となる4つのストロークを覚えましょう。
フルストローク
高い位置から振り下ろし、叩いた反動(リバウンド)を利用して、再び高い位置に戻すストロークです。アクセントなど、大きな音を出したい時に使います。リバウンドを殺さず、自然に跳ね返ってくる感覚を掴むのがポイントです。
ダウンストローク
高い位置から振り下ろし、叩いた後は低い位置でスティックを止めます。アクセントの直後の音を小さく叩きたい時などに使われます。音量をコントロールする上で非常に重要なテクニックです。
タップストローク
低い位置から振り下ろし、叩いた後も低い位置で止めるストロークです。ゴーストノートなど、小さな音を連続して叩く時に使います。力まず、手首や指で軽く叩くイメージです。
アップストローク
低い位置から振り下ろしますが、叩くと同時に次のアクセントの準備のためにスティックを高い位置へ持っていきます。小さな音の後に大きな音を叩く、という流れをスムーズに行うためのストロークです。例えば、「タタン」というフレーズで、最初の「タ」をタップで叩き、次の「タン」をアクセントにしたい場合、最初の「タ」を叩いた後にアップストロークを使うことで、スムーズに次のフルストロークに繋げることができます。
これらの4つのストロークを自在に組み合わせることで、強弱のついた表現力豊かな演奏が可能になります。まずは練習パッドの上で、それぞれの動きをゆっくり確認しながら練習してみてください。
地道な努力が実を結ぶ!最強の基礎練習(ルーディメンツ)
「ルーディメンツ」という言葉を聞いたことがありますか?これは、ドラム演奏の基礎となる基本的な手順やパターンのことで、言わばドラムの「素振り」のようなものです。地味な練習ですが、これをしっかりやるかどうかで、後々の成長に大きな差が生まれます。ここでは、絶対に覚えておきたい代表的なルーディメンツを紹介します。
なぜルーディメンツが重要なのか?
ルーディメンツを練習することで、以下のような効果が期待できます。
- スティックコントロールの向上: 左右の手を思い通りに動かせるようになります。
- リズム感の強化: 正確なタイミングで叩く感覚が身につきます。
- 表現力の拡大: 様々な手順を覚えることで、フィルインやソロの引き出しが増えます。
- 左右の均一化: 利き手とそうでない手の音量や音質の差が少なくなります。
全ての練習の土台となるのがルーディメンツです。毎日少しずつでも良いので、コツコツと続けることが大切です。
まずはこれだけ!必須ルーディメンツ
数多くあるルーディメンツの中から、初心者がまず取り組むべき基本的なものをいくつかご紹介します。手順は R=右手(Right)、L=左手(Left) で表記します。
シングルストローク
手順: R L R L R L R L…
右手と左手を交互に一回ずつ叩く、最もシンプルなパターンです。簡単に見えますが、左右の音量とタイミングを均一に保つのが意外と難しいです。メトロノームに合わせて、ゆっくりなテンポから始め、徐々にスピードを上げていきましょう。全ての基本となる、非常に重要なルーディメンツです。
ダブルストローク
手順: R R L L R R L L…
同じ手で2回連続して叩くパターンです。2打目の音が弱くならないように、1打目のリバウンドをうまく利用して2打目を叩くのがコツです。手首だけでなく、指の動きも意識するとスムーズに叩けます。高速なフレーズを叩く上で必須のテクニックです。
パラディドル
手順: R L R R L R L L…
シングルとダブルを組み合わせた、非常に応用範囲の広いルーディメンツです。この手順を覚えると、手足のコンビネーションに応用したり、タム移動のフィルインを作ったりと、様々な場面で役立ちます。アクセントの位置を変える練習(R L R R / L R L L の太字部分を強く叩くなど)も効果的です。
練習のポイント
ルーディメンツを練習する上で、絶対に忘れてはならないのがメトロノームの使用です。自分の感覚だけに頼っていると、知らず知らずのうちにテンポが速くなったり遅くなったりしてしまいます。正確なリズム感を養うために、必ずメトロノームと一緒に練習しましょう。また、ただ手順をなぞるだけでなく、一打一打の音に集中し、フォームを確認しながら丁寧に行うことが上達への鍵です。
ビートを刻もう!リズムパターンの基本
基礎練習でスティックコントロールに少し慣れてきたら、いよいよドラムセット全体を使ったリズムパターンの練習に入りましょう!バンドの土台となるビートを叩けるようになると、ドラムの楽しさが一気に爆発しますよ。
全ての基本「8ビート」
ポップスやロックなど、世の中の多くの楽曲で使われているのが「8ビート」です。これをマスターすれば、叩ける曲のレパートリーが格段に広がります。まずは最も基本的なパターンを覚えましょう。
基本的な8ビートの叩き方
右手でハイハット、左手でスネア、右足でバスドラムを叩くのが基本形です。(左利きの場合は左右逆に考えてください)
- 右手(ハイハット): 「チッチッチッチッ」と、一定の速さで8回叩きます。これが8ビートの由来です。
- 左手(スネア): 8回刻むハイハットのうち、3回目と7回目のタイミングで「タン!」と叩きます。(カウントで言うと2拍目と4拍目)
- 右足(バスドラム): まずは1回目と5回目のタイミングで「ドン!」と踏んでみましょう。
これを組み合わせると、「(ドン)チッ(タン)チッ(ドン)チッ(タン)チッ」という、誰もが一度は聞いたことのあるリズムになります。最初は手足がバラバラに動いて難しいかもしれませんが、ゆっくりなテンポで、一つ一つの動きを確認しながら練習すれば、必ず叩けるようになります。
8ビートのバリエーション
基本パターンに慣れたら、バスドラムのパターンを変えるだけで、様々なノリを生み出すことができます。例えば、バスドラムを「ドン、ド、ドン」と入れたり、スネアの直前にも入れたりするだけで、ビートに疾走感が生まれます。色々な曲を聴いて、バスドラムがどんなリズムを刻んでいるか、耳を澄ましてコピーしてみるのも良い練習になります。
フィルインに挑戦!
フィルイン(通称:おかず)とは、AメロからBメロへ移る時など、曲の節目に入れる短いフレーズのことです。ビートの合間にタムやスネアを使って「ドコドコドン!」といったフレーズを入れることで、曲の展開をスムーズにし、聴いている人を飽きさせない効果があります。最初のうちは、8ビートの最後の1拍(7打目と8打目)を休んで、その代わりに「タム→スネア」や「ハイタム→ロータム」などを叩いてみることから始めると良いでしょう。ルーディメンツで練習した手順が、ここでも活きてきます。
いろいろなリズムに触れてみよう
8ビート以外にも、世の中には様々なリズムが存在します。
- 16ビート: ハイハットを8ビートの倍の速さ(16回)で刻む、より細かくリズミカルなビートです。ファンクやR&Bなどでよく使われます。
- シャッフル: 「タッカタッカ」と跳ねるようなリズムが特徴のビートです。ブルースやロックンロールの基本となります。
- ジャズのスウィング: ライドシンバルで「チーチッキ、チーチッキ」という独特のビートを刻みます。左足のハイハットで2拍・4拍を踏むのも特徴です。
自分の好きな音楽がどんなリズムでできているのかを分析してみるのも、非常に面白いですし、上達に繋がります。色々なジャンルの音楽を聴いて、リズムの引き出しをどんどん増やしていきましょう。
読めると世界が広がる!ドラム譜の読み方入門
市販のバンドスコアを使ったり、教則本で練習したりする上で、ドラム譜が読めることは大きなアドバンテージになります。最初は難しそうに見えるかもしれませんが、ルールさえ覚えてしまえば、誰でも読めるようになります。ここでは、ドラム譜の基本的な読み方を解説します。
ドラム譜の基本ルール
ドラム譜は五線譜を使って書かれますが、ピアノなどと違って音階を表すのではなく、どのパーツを叩くかを線の位置で示しています。
パーツの位置
記譜のルールは出版社などによって若干の違いがありますが、一般的には以下のように配置されていることが多いです。「高い音の楽器は上に、低い音の楽器は下に」と覚えると分かりやすいです。
| 線の位置 | 楽器 |
| 一番上の線の上 | クラッシュシンバル、ライドシンバル(×印で書かれることが多い) |
| 第4間(上から2番目のスペース) | ハイタム |
| 第3間(真ん中のスペース) | スネアドラム |
| 第2間(下から2番目のスペース) | ロータム、フロアタム |
| 第1間(一番下のスペース) | バスドラム |
| 一番下の線の下 | ハイハットペダル、フットスプラッシュ(×印で書かれることが多い) |
ハイハットは、一番上の線のさらに上に×印で書かれることが多く、叩く状態によって記号が変わります。閉じた状態(クローズ)は通常の×、開いた状態(オープン)は×に小さな丸が付いていることが多いです。
音符と休符の種類
次に、音の長さ(と休む長さ)を表す音符と休符を覚えましょう。これが分からないと、リズムを正確に読み取ることができません。
基本的な音符
- 全音符: 4拍分伸ばす音。
- 2分音符: 2拍分伸ばす音。
- 4分音符: 1拍分の長さの音。ビートの基本となります。
- 8分音符: 0.5拍分の長さの音。4分音符の半分の長さです。
- 16分音符: 0.25拍分の長さの音。8分音符の半分の長さです。
基本的な休符
音符に対応して、同じ長さだけ休むことを示す休符もあります。
- 全休符: 4拍分休む。
- 2分休符: 2拍分休む。
- 4分休符: 1拍分休む。
- 8分休符: 0.5拍分休む。
- 16分休符: 0.25拍分休む。
これらの音符と休符の組み合わせで、あらゆるリズムが表現されています。最初は8ビートの譜面など、シンプルなものから読み解く練習をしてみましょう。譜面が読めるようになると、耳で聴いただけでは分からなかった細かいフレーズが理解できたり、新しいフレーズを学ぶスピードが格段に上がったりと、良いこと尽くめです。
愛器を長持ちさせる!ドラムのメンテナンス術
ドラムは叩くだけでなく、きちんと手入れをしてあげることも大切です。適切なメンテナンスは、楽器を良い状態で長持ちさせるだけでなく、良いサウンドを保つためにも欠かせません。ここでは、基本的なメンテナンス方法であるチューニングとクリーニングについて解説します。
ドラムのキモ!チューニングの基本
ドラムのチューニングと聞くと、難しそうなイメージがあるかもしれません。しかし、基本的な手順さえ覚えれば、誰でも自分の好みのサウンドに近づけることができます。チューニングには「チューニングキー」という専用の工具を使います。
チューニングの手順
ここではスネアドラムを例に、基本的な手順を紹介します。
- 全てのボルトを緩める: まず、チューニングキーを使って、ヘッドを留めている全てのボルトを指で回せるくらいまで緩めます。
- 指で締める: 次に、全てのボルトを指で回らなくなるまで均等に締めていきます。ここが基準点(ゼロポイント)になります。
- 対角線上に締める: チューニングキーを使い、あるボルトを締めたら、次はその対角線上にあるボルトを締める、という作業を繰り返します。こうすることで、ヘッドに均等なテンションがかかります。時計回りに順番に締めていくのは避けましょう。
- 締める回数を合わせる: 最初は、各ボルトを「半回転」ずつなど、同じ量だけ締めていくと、均一な張りにしやすいです。
- 音程を確認する: 各ボルトの近くを軽くスティックで叩き、音の高さを確認します。全ての場所で同じくらいの音程になるように、微調整を繰り返します。低いところは少し締め、高いところは少し緩めます。
これは打面(トップヘッド)のチューニングですが、裏面(ボトムヘッド)も同様にチューニングします。一般的に、裏面を表面より少し高めに張ると、歯切れの良いサウンドになる傾向があります。どんなサウンドが良いかという正解はないので、色々な張り具合を試して、自分の好きな音を探求するのもドラムの楽しみの一つです。
ヘッド(打面)の交換
ドラムヘッドは消耗品です。使っているうちに表面のコーティングが剥がれたり、凹みができたり、伸びてしまったりします。サウンドに張りがなくなったり、チューニングが合いにくくなったりしたら交換のサインです。ヘッドの種類(厚さやコーティングの有無など)によってサウンドは大きく変わるので、交換するタイミングで違う種類のヘッドを試してみるのも面白いですよ。
シンバルのクリーニング
シンバルは、手で触った時の皮脂や、空気中のホコリなどで徐々に汚れていきます。汚れは見た目が悪いだけでなく、サウンドにも影響を与えることがあります。シンバルを綺麗に保つには、演奏後に乾いた柔らかい布で指紋などを拭き取る習慣をつけるのが一番です。汚れがひどい場合は、市販されているシンバル専用のクリーナーを使うこともできますが、クリーナーによってはシンバルのロゴが消えたり、サウンドが大きく変化したりすることがあるので、使用する際は目立たないところで試してからにしましょう。
もっと上手くなりたい!ドラマーとしての成長戦略
基本的なことができるようになったら、次のステップに進みたくなりますよね。ここでは、中級者以上を目指すための練習方法や心構えについてご紹介します。常に新しい目標を持って取り組むことが、マンネリを防ぎ、上達を続ける秘訣です。
耳コピの能力を鍛える
耳コピとは、譜面を見ずに、音源を聴いただけでそのフレーズをコピーして演奏することです。耳コピの能力は、ドラマーにとって非常に重要なスキルです。好きな曲のドラムパートをコピーすることで、自分の中のフレーズの引き出しが格段に増えます。
耳コピのコツ
- まずは全体像を掴む: 何度も曲を聴き込み、基本的なビートのパターン(8ビートなのか、16ビートなのかなど)や、曲の構成(Aメロ、Bメロ、サビなど)を把握します。
- パートごとに分解する: 最初はバスドラムだけ、次にスネアだけ、というように、パートごとに音を拾っていくと、複雑なフレーズも聴き取りやすくなります。
- ゆっくり再生する: 最近は音楽再生アプリやウェブサイトで、音程を変えずに再生速度だけを遅くできる機能があります。これを活用すると、速くて聴き取れないフレーズも分析しやすくなります。
- 口ドラムで歌ってみる: 「ドンツクタンツク」のように、聴き取ったリズムを口で再現してみるのも効果的です。
好きなドラマーを研究する
自分の好きなドラマーを見つけて、その人のプレイを徹底的に研究することも、大きな成長に繋がります。なぜその人のプレイはカッコいいのか?どんな機材を使っているのか?どんなフレーズを多用するのか?などを分析してみましょう。ライブ映像を見るのもおすすめです。スティックの振り方、体の使い方、表情など、音源だけでは分からない多くのヒントが隠されています。
バンドを組む、セッションに参加する
ドラムはアンサンブル楽器です。一人で練習するのも楽しいですが、他の楽器と一緒に音を出す経験は、何物にも代えがたい喜びと学びがあります。バンドを組めば、メンバーと意見を交換しながら曲を作り上げる楽しさを味わえますし、他の楽器の音を聴きながら叩く能力が自然と身につきます。また、ジャムセッションなどに参加してみるのも良い経験になります。初対面の人と即興で演奏することで、対応力やコミュニケーション能力が磨かれます。
モチベーションを維持するために
どんなに好きなことでも、時にはスランプに陥ったり、練習が面倒になったりすることもあります。モチベーションを維持するためには、以下のようなことを意識してみると良いでしょう。
- 具体的な目標を立てる: 「次のライブまでにこの曲を完璧にする」「BPM180で16分音符を叩けるようになる」など、具体的で測定可能な目標を設定すると、日々の練習に張り合いが出ます。
- 練習を記録する: 練習日誌をつけて、今日できたこと、できなかったこと、気づいたことなどを書き留めておくと、自分の成長が可視化できて励みになります。
- たまにはドラムから離れてみる: 行き詰まった時は、思い切って数日間ドラムから離れてみるのも一つの手です。他の楽器を触ったり、ライブを見に行ったり、音楽以外の趣味に没頭したりすることで、新たなインスピレーションが湧いてくることがあります。
初心者のギモンを解決!ドラムQ&A
最後に、ドラムを始めるにあたって多くの人が抱くであろう疑問にお答えします。
Q1. 手足がバラバラに動かせません。才能ないかも…
A1. 心配ありません!それは「才能」ではなく「慣れ」の問題です。
最初は誰でも手足が一緒に動いてしまったり、思ったようにコントロールできなかったりするものです。これは、今までやったことのない動きを脳がやろうとしているから。自転車の練習と同じで、最初は誰もがフラフラしますよね。でも、練習を繰り返すうちに、無意識にバランスが取れるようになります。ドラムも全く同じです。超スローテンポで、一つ一つの動きを脳と体に覚えさせる練習を繰り返すことで、必ずできるようになります。諦めずに続けてみてください。
Q2. リズム感がないのですが、ドラムはできますか?
A2. 大丈夫です!リズム感は先天的なものだけでなく、トレーニングで養うことができます。
「自分はリズム感がない」と思っている人の多くは、単に正確なリズムに触れる機会が少なかっただけ、というケースがほとんどです。前述したように、練習の際は必ずメトロノームを使う習慣をつけましょう。メトロノームの正確なクリック音に合わせて叩く練習を続けることで、体の中に正確なテンポ感が刻み込まれていきます。これが「リズム感を養う」ということです。
Q3. 練習時間はどれくらい必要ですか?
A3. 時間の長さよりも「継続すること」が重要です。
もちろん、練習時間は長ければ長いほど上達は早い傾向にありますが、もっと大切なのは「毎日少しでも楽器に触れる」ことです。週に一回、3時間スタジオに入るよりも、毎日15分練習パッドで基礎練習をする方が、結果的に上達が早いこともあります。忙しい日でも、スティックを握る、練習パッドを数分叩く、といった小さな習慣を続けることが、上達への一番の近道です。
Q4. 電子ドラムと生ドラムは違いますか?
A4. はい、叩き心地や表現力には違いがあります。
電子ドラムは自宅での練習に非常に便利な楽器ですが、生ドラムとはいくつか違いがあります。例えば、リバウンド(跳ね返り)の感覚や、叩く位置や強さによる音色の変化の幅は、やはり生ドラムの方が豊かです。そのため、電子ドラムを中心に練習している人も、定期的にスタジオなどで生ドラムを叩く機会を作ることを強くおすすめします。両方の特性を理解し、うまく使い分けるのが理想的です。
まとめ
ここまで、ドラムの基本から練習方法、メンテナンスに至るまで、幅広く解説してきました。たくさんの情報がありましたが、一番大切なのは「ドラムを楽しむ気持ち」です。憧れの曲を叩けるようになった時の喜び、バンドメンバーと息が合った時の高揚感、観客の前で演奏する緊張感と達成感。ドラムは、あなたにたくさんの素晴らしい経験を与えてくれるはずです。この記事が、あなたのドラムライフの第一歩を後押しできたら、これほど嬉しいことはありません。さあ、スティックを持って、リズムの世界を思いっきり楽しんでください!

